採用担当が1人でもSNSを回す:業務設計とテンプレート化

公開日: 2026-08-29

採用広報としてSNSを始めたものの、投稿は月に1〜2本で止まり、下書きフォルダには撮ったきりの動画が溜まっている。撮影を頼みたい社員には「忙しいので」と言われ、上司からは「で、応募は増えたの」と聞かれる。兼務で採用SNSを担当している人の多くが、この状態にいます。この記事では、一人でも回り続ける業務設計を、撮り溜め・テンプレート・月次サイクルの3点に分けて説明します。読み終えたとき、来月の作業日程と社内への依頼文がそのまま決まる状態を目指します。

一人運用が止まる原因は作業量ではなく「判断の回数」

続かない理由を「時間がない」と整理すると、打ち手が「時間を作る」しかなくなります。実際に効くのは判断の回数を減らす設計です。

1本の投稿を出すまでに、何を撮るか、誰に出てもらうか、どう書くか、いつ出すかで最低4回の判断が発生します。月8本なら32回。この判断が、他業務の合間に細切れで割り込んでくるから手が止まります。逆に言えば、判断をまとめて月1回に集約できれば、残る作業は撮る・切る・出すという単純作業だけになります。

まず作るのは投稿カレンダーではなく、A4一枚の「決め事リスト」です。届けたい相手(新卒か中途か、職種は何か)、伝える3テーマ、出演を打診できる社員の名前、そして撮ってはいけないもの(顧客名、図面、入退室エリア、私物)。ここが決まっていないと、毎回ゼロから考えることになります。

  • 良い兆候:撮影当日に「今日何を撮るか」を考える時間がゼロになっている
  • 危険な兆候:下書きが3本以上溜まっている。作業が止まったのではなく、判断が終わっていない

撮り溜めは「素材の量」ではなく「本数と賞味期限」で管理する

撮り溜めは一人運用の生命線ですが、素材フォルダの容量が増えても投稿は増えません。管理単位は「投稿何本分か」です。半日の撮影で4〜8本分を確保する、と決めてしまいます。

ここで発注側が後から気づく落とし穴が、素材の賞味期限です。撮った映像は、季節の服装、オフィスの模様替え、そして出演者の退職で使えなくなります。ある製造業の会社では、半年分を一気に撮ったものの、主演していた若手が3か月後に異動して現場の空気と合わなくなり、後半の素材が丸ごと使えなくなりました。撮り溜めの適正量は、私たちの実務感覚では2か月分前後。それ以上は在庫リスクになります。

撮影日を効率化する具体策として効果が大きいのは、台本ではなく質問リストを前日に本人へ渡すことです。「入社の決め手」「入社前とのギャップ」「後輩に任せている仕事」の3問だけでも、当日の考え込む時間が消えます。

  • 良い兆候:同じ場所・同じ画角で撮れる型が2つ以上ある
  • 危険な兆候:毎回ロケ地と機材構成を変えている。凝っているのではなく、型が決まっていない状態

テンプレート化する対象は、文章ではなく「型と配役」

キャプションの雛形を作っても作業は軽くなりません。固定すべきは、投稿の型(構成)と、誰が出るか(配役)です。

型は3〜5個に絞ります。社員への一問一答、ある職種の一日、現場やオフィスの紹介、選考でよく聞かれる質問への回答、経営層の考え方。この程度で足ります。それぞれについて、冒頭2秒に出すテキスト、尺、締めの一文を固定してしまう。ここまで決めると、編集は差し替え作業になります。

型を増やしたくなったときの判断基準を先に決めておくと迷いません。同じ型を3本出して、保存やプロフィール遷移に兆しが見えなければ、改善ではなく削除。手を入れて粘るのは、反応の幅が大きい型だけにします。型が10個ある状態は、どれも磨かれていない状態とほぼ同義です。

配役も型に紐づけておきます。一問一答は入社3年目まで、職種紹介は各部署のリーダー、というように担当を先に決めておけば、毎月の「誰に頼むか」という一番気を遣う判断が消えます。

週次で回すと兼務は崩れる。月次サイクルに寄せる

一人運用で週次の締切を設けると、繁忙期に一度崩れた瞬間に立て直せなくなります。月単位のサイクルに寄せ、日付でブロックするほうが持ちます。

私たちが伴走する際によく置く配置は、月初に企画確定と撮影日の社内調整、月中に半日の撮影、その翌週に編集と予約投稿の一括セット、月末に30分の振り返り。ポイントは編集を撮影日の翌週に固定することです。月末にまとめてやろうとすると、月末は他業務も重なるため、真っ先に飛びます。

振り返りで見る数字は、フォロワー数を主指標にしません。採用の意思決定に近いのは、保存数、プロフィールへの遷移、そして面接での「SNSを見ました」という発言の有無です。単月の増減で判断せず、3か月並べて中央値で見る。単月で一喜一憂すると、伸びた投稿の真似を始めて型が崩れます。

  • 判断の分かれ目:数字が動かないとき、企画が枯れているのか、編集で詰まっているのか、出演者が集まらないのかを切り分ける。打ち手がまったく違う

社内の巻き込みは「お願い」ではなく、先に決めておく取り決めで支える

出演依頼を個人の善意で回すと、二度目から断られます。担当者の熱意の問題ではなく、位置づけの問題です。

社内で揉めやすい論点は、だいたい4つに集約されます。最終チェックを人事と広報のどちらが持つか。出演者が退職した後の投稿を残すか消すか。現場から「忙しいのに」と反発が出たときに誰が調整するか。コメントやDMへの一次対応を誰がやるか。この4つを、始める前に部門長レベルで文書化しておくだけで、後の消耗がかなり減ります。

出演同意についても、撮影時の口頭了承だけで進めると、退職時に削除依頼が来たときの判断ができません。同意書に、退職後の掲載可否と、削除を申し出る窓口を一行入れておく。この一行があるかどうかで、一人担当者が背負う心理的負担が変わります。

現場への依頼文は、「協力してください」ではなく「今期の採用計画で、○○部から月1名の撮影協力を見込んでいます」と、既定路線として通知する形が通りやすいと感じます。

外注に切り替える判断は、月の稼働時間と「詰まっている工程」で決める

外注の是非は、費用の総額ではなく、どの工程で何時間使っているかで決まります。企画に時間が溶けているのか、編集で毎回3時間かかっているのか、出演者集めで消耗しているのか。編集だけが重いなら編集のみの外注で足りますし、企画が枯れているなら本数を減らして中身を厚くするほうが早い。

費用の考え方も、総額の相場を探すより内訳で見たほうが判断できます。アカウント設計などの初期費用、月あたりの撮影訪問回数、納品本数、遠方であれば出張費、分析レポートの有無。この5つで金額は大きく動きます。安く見える提案は撮影回数が少ないことが多く、その分の企画と素材集めが自社に戻ってきます。

提案書を並べているなら、次の質問をそのまま投げてみてください。

  • 初月に納品されるものを、成果物名で全部挙げてください
  • 撮影に伺うのは月何回で、1回あたり何本分の素材を撮る想定ですか
  • 当社の担当者の稼働は月何時間を見込んでいますか。その内訳も教えてください
  • 1年後に内製へ移す場合、何を引き継げますか

答えの中身より、稼働時間を数字で答えられるかどうかを見ます。自社側の工数を具体的に示せる会社は、運用の実態を知っています。「お任せください」で稼働見積が出てこない場合、依頼後に想定外の作業が戻ってくることが多いというのが、私たちの実感です。

まとめ

一人運用の成否は、根性ではなく判断の回数と月次の型で決まります。明日やることは2つに絞ってください。ひとつは、届けたい相手・3テーマ・出演候補・NG事項を書いたA4一枚の決め事リストを作ること。もうひとつは、来月の撮影日を半日分カレンダーに入れ、出演候補の2名に質問リスト付きで打診することです。この2つが埋まれば、来月の投稿は自動的に決まります。

トレプロは600社以上の採用SNS運用に携わる中で、兼務担当者の稼働をどこまで削れるかを設計の起点にしてきました。将来の内製化を見据えた伴走にも対応しているので、工程の切り分けに迷ったときは相談材料として使ってください。

SNS採用の現在地を30秒でチェック

無料SNS採用力診断 →